【コラム】ドローン等と航空法改正

ドローンに代表される(民間の)無人航空機は、上空からの撮影や調査、農薬の散布などの用途において非常に有用なものであり、その利用が増大しています。
ただ、その一方で落下による危険や上空から侵入できることにより保安上の問題が生じるなど、そのデメリットもクローズアップされてきました。
そこで、国もドローン等の無人航空機に関する規制を検討せざるを得なくなり、今年の7月14日に航空法の一部を改正することにより応急的に無人航空機に対する一定の規制を行う閣議決定をしていたところ、9月4日に当該改正が成立し、12月10日に施行されました。

改正内容としては、航空法に新たに「無人航空機」に関する章を設け、無人航空機を「航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であつて構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるもの(その重量その他の事由を勘案してその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないものとして国土交通省令で定めるものを除く。)」と定義付け、無人航空機が国土交通大臣の許可無く飛行できない空域(飛行の禁止空域)と飛行の方法を規定しました。当該定義からは、いわゆるドローンのみならず、ラジコンヘリなどのラジコン機や農薬散布に利用される小型ヘリコプターなども該当することになります。

飛行の禁止空域は、①航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域及び、②人又は家屋の密集している地域の上空であり、国土交通省令に定めるものになります。具体的には、①については、地表又は水面から150m以上の高さの空域及び空港・ヘリポート等の周辺(進入表面等)の上空の空域であり、②については平成22年国勢調査の結果による人口集中地区の上空を指します。
また、飛行の方法としては、国土交通大臣の承認がある場合を除き、原則として、①日出から日没までの間において飛行させること、②無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること、③無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離(現在のところ、30m)を保って飛行させること、④祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること、⑤無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと、⑥地上又は水上の人又は物件に危害を与え又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き当該無人航空機から物件を投下しないこと、が課せられます。

このような規定に違反してドローン等の無人航空機を飛行させるなどした者は、50万円以下の罰金刑に処せられることになります。

国はドローン等の無人航空機の飛行に関するガイドラインも設け、上記のような航空法上の国土交通大臣の許可・承認について、実は既に11月17日から受付を開始しています。

このように今後は、ドローン等を飛行させるにあたって、航空法上のルールを遵守しなければならず、罰則も設けられました。しかしながら、細則は国土交通省令に規定されるなど、航空法を読めばルールの内容や許可・承認の方法などが簡単に分かるものではなく、例えばそもそも航空法の適用を受ける「無人航空機」に該当するのか、というところから考えていかなければなりません。

従って、思わぬ罰則を受けることなどがないように、ドローン等を飛行させるにあたってご不明な点や不安がある場合には、当事務所までご相談下さい。

(弁護士 柴山将一)