第一編から第五編まで成る現行民法が施行されたのが1898年のことです。
以降、太平洋戦争後に日本国憲法が制定されたことを受けて抜本的な改正が第四編・第五編(いわゆる家族法(親族・相続法)分野)を中心に行われ、それ以外の小規模な改正はいくつか行われてきましたが、民法の根幹であり財産法分野が中心となる第一編から第三編については大幅な改正は行われてきませんでした。
しかし、明治と現在とでは、我々の生活は大きく異なっており、民法を取り巻く環境は激変したにもかかわらず、民法が何ら変わっていないことの弊害が指摘され、財産法分野の中でも債権法分野を中心とした改正作業が進められてきました。
その結実として、民法の一部を改正する法律案が2015年3月に国会に提出され、審議が行われ来ましたが、ついに2017年5月26日に可決成立し、同年6月2日に公布されました。
改正部分の施行は、一部の規定を除き、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日とされ、現時点(2017年7月30日)では当該政令は定められていません。
先に述べた家族法分野の戦後の改正を除けば、現行民法制定以来の大改正ですので、その周知や対応の準備等を考えて、実際に施行されるのはまだ先のことと考えられております。
しかしながら、民法は全ての国民に最も身近な法律の最たるものであり、その民法の改正内容について知っておくことはとても重要なことと言えます。
そこで、本トピックスでも、民法改正の概要について、順次お伝えしていきたいと思います。
(弁護士 柴山将一)