2018年7月6日,「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が公布され,労働基準法が大きく改正されました。
今回はその中でも,年次有給休暇に関する改正点の概要について,紹介したいと思います。
ところで,みなさんは,年次有給休暇について,全て消化していますか?
私の知人は,十分に年次有給休暇を消化していない方も多いです。
そのことを裏付けるように,平成30年の厚生労働省の就労条件総合調査(下記URL参照)によれば,日本における年次有給休暇の取得率は,5割程度の水準にとどまっています。
記
前記のような現状を打破すべく,今般,年次有給休暇に関して,労働基準法が改正されました。その概要は下記4点になります。
① まず,2019年4月から,使用者は労働者(年次有給休暇が10日以上付与される者に限る)ごとに,年5日の有給休暇を,時季を指定して取得させなければならないことになりました(労働基準法39条7項)。
② 一方で,既に5日以上の年次有給休暇を取得している労働者に対しては,使用者は有給休暇を取得させる必要はありません(労働基準法39条7項)。
③ また,使用者は,労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し,3年間保存しなければなりません(労働基準法施行規則24条の7)。
④ 使用者が年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合には,30万円以下の罰金が科せられることになります(労働基準法120条1号)。
以上が,年次有給休暇に関する改正点の概要になります。
私個人としては,有給休暇を取得するもしないも本人の自由だと思いますので,強制的に有給休暇を取得させられることになる今回の法改正には,少し疑問を感じる部分もありますが,上記②で記載したとおり,その日数は5日に限定され,日本における年次有給休暇の取得率が5割程度にとどまっているという現状を踏まえると,ある程度の合理性が認められるようにも思います。
今回の改正は,年次有給休暇に関する改正のみにとどまらず,高度プロフェッショナル制度の導入等,多くの改正点があります。
今回の改正に関して,ご不明な点やご不安がある場合には,当事務所までご相談ください。