2018年7月6日,「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が公布され,労働基準法が大きく改正されました。
今回はその中でも,みなさんの関心が高いであろう時間外労働に関する改正点の概要について,紹介したいと思います。
これまで法律上は,残業時間の上限がありませんでした(行政指導のみ)。
しかしながら,今回の改正により,その上限が法律上も規制されることとなり,これに違反した場合の罰則規定(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金。労働基準法36条6項,119条)も設けられています。
長時間の時間外労働が引き起こす様々な悪影響を踏まえれば(長時間の時間外労働が原因で,自ら命を絶ってしまった痛ましい事件については,記憶に新しいことと思います),残業時間の上限について,法律上の規制は必要不可欠であるように思います。
今回の改正により,それがようやく実現されました。
具体的な規制は下記のとおりです。
① まず,残業時間の上限は,原則として月45時間(1日残業2時間程度)・年360時間とされ,臨時的な特別な事情がなければこれを超えることはできないものとされています。
② また,臨時的な特別な事情があって,労使が合意する場合でも以下を超えることはできません。
ⅰ 年720時間以内
ⅱ 複数月平均80時間(1日残業4時間程度)以内(休日労働を含む)
2ヶ月平均,3ヶ月平均,4ヶ月平均,5ヶ月平均,6ヶ月平均が全て1月当たり80時間以内である必要があります。
ⅲ 月100時間未満(休日労働を含む)
以上が,時間外労働に関する改正点の概要になります。
なお,上限規制の施行は2019年4月1日となりますが,中小企業に対しては,その適用が1年間猶予され,2020年4月1日からの適用となります。
また,上限規制の適用が猶予・除外となる事業・業務もあります。
今回の改正に関して,ご不明な点やご不安がある場合には,当事務所までご相談ください。