インターネット上のイラスト、写真等を使用した場合、イラスト、写真等の著作権者から著作権侵害であるとして損害賠償請求をされる可能性があります。
裁判所で著作権侵害であるとして争われた事案として以下のものがあります。
1 東京地裁平成24年12月21日判決(裁判所ウェブサイト)
<事案の概要>
被告がインターネット上の写真をダウンロードして複製し、アップロードしてブログに掲載し公衆送信しました。これに対し、原告会社が独占的利用許諾権を、その他の原告らが著作権を有しているとして、それぞれ30万~40万円余りの元本及び遅延損害金を請求し、それぞれ7万円余りの元本及び遅延損害金の請求が認められた事案です。
<判示>
裁判所は、「本件提起前のA弁護士との交渉において」、「A弁護士に対し,本件写真が壁紙Linkの記載からフリー素材であると誤信した旨を述べていない」、「「海外のショップでフリーの素材として販売していたもの」あるいは「海外のネット上で流通しているもの」との記載は,一定程度の注意をもって読めば,壁紙Linkが本件写真の利用許諾を受けていないことについて理解ができるものである。」、「 被告は,本件写真の利用について,その利用権原の有無についての確認を怠ったものであって,本件写真をダウンロードして複製したこと及びアップロードしてブログに掲載し公衆送信したこと(複製権及び公衆送信権の侵害)について,過失があると認められる。」として損害賠償を認めました。
2 東京地裁平成27年4月15日判決(裁判所ウェブサイト)
<事案の概要>
被告が運営するウェブサイトに写真が継続的に掲載され、各原告の著作権が侵害された等として、各原告が20万円余りの元本及び遅延損害金を請求し、1万円乃至19万円余りの元本及び遅延損害金の請求が認められた事案です。
<判示>
裁判所は、「Eがどのような手段により本件各写真にアクセスしたのかは明らかでないが,証拠(乙2,24)及び弁論の全趣旨によれば,Eは,ホームページを作成する会社に勤務してホームページ作成技術を学んだ後,平成20年に独立してホームページの作成を業務として行うようになり,平成21年にコンピューターシステムの設計,開発及び販売のほか,インターネットのホームページの作成,企画,立案及び運営などを目的とする株式会社オプティクリエイションを設立して,平成24年まで同社の事業としてホームページの作成業務を行っていたところ,同年10月からは,弁護士法人である被告の従業員として被告ウェブサイトの作成業務を担当していたことが認められるから,このようなEの経歴及び立場に照らせば,Eは,本件掲載行為によって著作権等の侵害を惹起する可能性があることを十分認識しながら,あえて本件各写真を複製し,これを送信可能化し,その際,著作者の氏名を表示しなかったものと推認するのが相当であって,本件各写真の著作権等の侵害につき,単なる過失にとどまらず,少なくとも未必の故意があったと認めるのが相当というべきである。」として損害賠償を認めました。
これらの裁判例からしますと、利用権原について注意して確認ができたにもかかわらず確認を怠った場合には、著作権を侵害したことにつき過失があるとして損害賠償が認められるといえます。
そのため、インターネット上のイラスト、写真等を使用する場合には、利用権原を確認する必要があると考えます。
フリー素材を提供しているウェブサイトにおいても、利用をお断りするケースや有償となるケースを説明しているものもありますので、利用規約等をよく確認し、無償で使用できるかを悩まれるような場合には使用しないことが無難といえます。